ゼロタッチ運用はどこまで来たか
インシデントの検知から復旧、学習まで。
複雑化したハイブリッドクラウドでは、人手だけでの運用は限界が見えています。
ガバナンスを崩さず、現場の習熟にも寄り添いながら自律化を進める“現実解”が問われています。
CoforgeのEvolveOps.AIは、その答えをエージェントAIで提示します。
SREやKubernetes、FinOpsなど役割ごとの“人格”が、既存のツール群の上に重なり、ノイズを抑えて決定を支援し、段階的に全自動へとシフトします。
ヒューマンインザループから完全自動まで、運用の成熟度に合わせて踏み込める設計が特徴です。
EvolveOps.AIとは何か:要点を素早く掴む
EvolveOps.AIは、オープンソース基盤を核に、小型言語モデル(SLM)と決定論的エンジンを組み合わせたエージェント型AIOpsプラットフォームです。
ハイブリッド/マルチクラウド前提で、観測・ITSM・自動化・セキュリティまで横断し、統合データ基盤で相関を推論します。
- エージェント人格: SRE、インフラ、Cloud/Kubernetes、ネットワーク、FinOpsなど28種の役割を内蔵
- 成果指標: ダウンタイム25%削減、IT運用費40%削減、MTTD/MTTR60%短縮、市場投入40%高速化
- 運用様式: ガードレールと承認フローで人手⇄全自動を切り替え
同社は“Mission Zero”として、Zero Touch / Zero Disruption / Zero Frictionを掲げ、テクノロジー運用の全段でAIエージェントを組み込む方針です。
“Mission Zero – Zero Touch (Operations), Zero Disruption (of Enterprise Systems) and Zero Friction (to enterprise end users)” — Coforge: EvolveOps.AI
エージェント人格の設計思想:SREからFinOpsまで
エージェントは業務役割=人格で編成されます。
各人格は観測基盤やITSM、IaC、ワークフローと連携し、検知・診断・実行・事後学習のループを回します。
意思決定はSLMの文脈推論に加え、ポリシーと承認条件で制御され、過剰自動化を防ぎます。
- SREエージェント: SLO逸脱の早期検知、相関分析、標準復旧手順の自動実行、事後レビュー作成
- Kubernetesエージェント: Pod再配置、HPA/Pod数調整、CrashLoopBackOffの原因解決、ローリングリスタート
- FinOpsエージェント: コスト異常アラート、RI/SP活用提案、未使用リソースの停止、タグ不備の是正
人格ごとの責務境界と権限レベルを分離できるため、段階導入と監査性の両立が可能です。
ハイブリッドクラウドへの深い統合:既存投資を“活かす”
EvolveOps.AIはAWS、Azure、GCP、OCI、プライベートクラウドのポリシー駆動オートメーションに対応し、観測・ITSM・セキュリティの標準スタックと連携します。
統一データファブリックでメトリクス/ログ/トレース/イベントを正規化・相関し、120超の統合フックで現場のツールをそのまま活かします。
- 観測:主要APM/ログ/トレースと接続、異常や再発パターンを検出
- ITSM:インシデント/変更/問題管理と双方向連携、自動チケット運用
- 自動化:IaC/オーケストレーター/Runbookと連携し安全に実行
“EvolveOps.AI has over a 120 (and growing) integration hooks with different enterprise observability platforms” — Coforge
発表各社の報道でも、ハイブリッド/マルチクラウドに跨る統合と運用ノイズの削減、MTTD/MTTRの短縮が強調されています。
参考:The Fast Mode、Express Computer
使い方:スモールスタートの実践レシピ
いきなり“全自動”に振り切る必要はありません。
次の5ステップで“安全に速く”価値を出せます。
- 要件定義: 重要サービスを1つ選び、SLO/KPI(MTTD/MTTR、エラーバジェット、コスト)を確定
- 接続と権限: 観測・ITSM・CI/CD・クラウド権限を最小権限で接続。初期はRead-Only
- Runbook整備: 既存手順をプレイブック化し、承認ガードレールを設定(例:営業時間外のみ自動)
- 段階自動化: 通知→提案→半自動(ワンクリック)→条件付き全自動の順で拡大
- 効果検証: 30/60/90日でノイズ率、MTTD/MTTR、変更失敗率、コスト改善をレビュー
この“漸進導入”は、監査/セキュリティの安心感と、早期の費用対効果を両立します。
ユースケースで見る“自律化の粒度”
インシデントL1→L3の自動化
相関分析で重複アラートを抑制し、根本原因候補と罹患範囲を提示。
SREエージェントが標準Runbookを実行し、復旧後は事後レビューを下書きします。
- 効果: 誤検知削減、エスカレーション効率化、MTTR短縮
Kubernetesの自己回復
CrashLoopBackOffやリソース逼迫を検知し、HPA/Pod再配置/再デプロイを自動選択。
ローリング失敗時はロールバック、変更記録をITSMへ反映します。
FinOpsとキャパシティ管理
コスト異常をRCAし、未使用EBS/Idleノードの解放、RI/SP提案、スケジュール停止を自動化。
“費用対効果”を継続的に可視化します。
アーキテクチャの要点と運用ガードレール
EvolveOps.AIは微調整済みSLMに決定論的な意思決定を合わせ、精度・遅延・コストをバランスします。
検知→診断→実行→学習の各段に監査ログと承認ポイントを配置し、段階自動化を支えます。
- 推論: 観測/変更/構成データを横断相関し、根本原因の仮説を提示
- 実行: IaC/ワークフローと連携し可逆な変更を適用。失敗時は自動ロールバック
- 責務: 人格ごとに権限と影響範囲を限定。人手⇄自動をポリシーで制御
“28個の事前構築されたエージェント人格”や“ノイズ削減と高速な検知/解決”は各報道でも触れられています。
参考:Windows Forum、Prysm
導入の落とし穴と回避策
失敗はデータ品質と組織運用に起因しがちです。
分散するメトリクス/ログ/トレースを正規化し、変更/資産/コストのメタデータを整備しないと推論が歪みます。
“今日のデータ環境は…複雑化している…AIOpsソリューションは…人間の介在なしで資産を効果的に監視し、依存関係を可視化します。” — Splunk: AIOpsの基本
- データ設計: メトリクス/ログ/トレース/イベントのスキーマ統一、タグ/所有者/環境の必須化
- ガバナンス: 変更承認とロールバックの標準化、時間帯/影響度ベースの自動実行ポリシー
- 過剰自動化の回避: まず提案/半自動から開始し、KPI達成をもって自動範囲を拡大
- 現場との共創: Runbookの共同整備と事後レビューでエージェントを継続学習
AIOpsの落とし穴と対策は他領域の事例でも共通です。参考:Botpress: AIOps Pitfalls
まとめ:エージェント×ハイブリッドで“運用を設計し直す”
EvolveOps.AIは、既存投資を活かしながらハイブリッドクラウド運用をエージェント化する現実解です。
“Mission Zero”の思想のもと、統合データファブリックと人格エージェントで、ノイズ削減→迅速な復旧→継続学習のループを加速します。
ポイントは段階導入とガードレールです。
SLO/KPIに紐づけ、提案/半自動から始め、監査可能な形で全自動へ拡張する。
自律化は目的ではなく、信頼性・俊敏性・コストの最適化という“成果”のための手段です。
参考情報:
Coforge プレスリリース/
製品ページ/
The Fast Mode

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