MENU

Shippio、通関業務をAIで約7割効率化する新クラウド

目次

紙とNACCSの間にAIを置くという選択

通関書類の転記と突合作業は、現場を最も消耗させる反復処理です。そこにAIを挟み、NACCS出力まで自動化する新しいクラウドが登場しました。Shippio Clearです。

同社の発表によると、実証では通関業務の工数を約7割削減。非定型フォーマットでもAI-OCRが高精度で読み取り、チェックと集計を肩代わりします。業務は軽く、判断は濃く。そんな運用に近づきます。

Shippio Clearとは何か

公式ページが示す通り、Shippio Clearは通関実務の前処理から申告書生成までをつなぐクラウドです。各種インボイスやパッキングリストの情報をAIで抽出し、整形・検証したうえで、NACCS申告フォーマットをワンクリックで生成します。

  • AI-OCR:非定型の貿易書類でも高精度で読み取り
  • 自動計算・検証:品目別・総量の自動集計、整合性チェック
  • NACCS出力:登録データを申告書式へ自動変換
  • ナレッジ活用:過去データを蓄積し、次回以降の作業を短縮

さらに既存のShippio WorksやCargoと連携。案件管理から通関までを同一クラウドで完結し、コミュニケーションも減らせます。

現場での使い方:アップロードからNACCS出力まで

使い方はシンプルです。まずインボイスやパッキングリストをアップロード。AIが項目候補を抽出し、数量・価格・重量などを読み取ります。

次に、抽出結果を画面で確認し、差分や不足を補います。HSコードの提案が表示されるので、通関士が最終判断。承認後、NACCS申告フォーマットを生成し、ダウンロードまたは連携で送出します。

  • 書類アップロード → 自動抽出
  • 自動集計・検証 → 差分解消
  • HSコード提案のレビュー → 確定
  • 申告書式を出力 → 社内承認 → 送信

繰り返しの案件では、過去データがテンプレートのように効き、作業はさらに短くなります。

仕組みの解剖:AI-OCRと検証エンジン、データ再利用

Clearのコアは、非定型帳票でも位置や表構造を推定して値を捕捉するAI-OCRです。レイアウト認識と項目推定を組み合わせ、同一書類内の整合性をチェックします。

たとえば、数量×単価=金額、品目合計=明細合計などの会計・数量整合を自動検証。異常や欠落はアラートとして提示し、担当者の確認を要請します。

  • マッピング:抽出値をNACCS項目へ変換
  • ルール検証:数値・通貨・重量単位の妥当性チェック
  • 監査性:変更履歴・承認履歴を保持

クラウド上に蓄積されたデータは、次回の抽出精度や選択肢提示に波及。現場のナレッジが資産として回り始めます。

実証結果の読み解き:7割効率化の内訳

Shippioはグループ会社の協和海運と検証を実施。公表情報では、工数の約7割を削減したとしています。

「AI OCR機能はフォーマットが統一化されていない貿易書類においても、読み取り精度97%を実現。登録データをNACCS申告書フォーマットに自動変換し、必要項目をワンクリックで出力可能」
出典:PR TIMES|通関業務を7割削減!Shippio Clear提供開始

実務では、ダブルチェックや転記の手戻りが圧縮されます。抽出→検証→NACCS変換の直線化が効いていると言えるでしょう。

  • 削減源:転記、集計、照合、申告フォーマット作成
  • 残存工数:HSコード最終判断、例外対応、社内承認
  • KPI例:1件あたり処理時間、二重チェック時間、再入力回数、エラー率

なお効果は書類の質や案件構成に依存します。パイロットで自社データの再現性を測るのが堅実です。参考:LNEWSLogi-biz

HSコード判定の現実解:AI提案と人の判断の最適分担

分類は責任重大です。AIは候補提示や根拠条文・解釈通達の参照支援に長けますが、最終判断は通関士の領域です。提案→レビュー→確定のワークフローが前提になります。

実務では、曖昧な品目や複合材質など迷う場面が必ずあります。AIは過去案件の整合や類推を示し、判断材料を増やす役割に徹するのが賢明です。誤分類リスクは承認権限と監査ログで制御しましょう。

  • 候補順位と根拠の提示
  • 疑義・保留フローの明文化
  • 税関照会の履歴管理と学習

セキュリティとガバナンス:通関領域で外せない要件

通関データは企業機密の塊です。アクセス権限の粒度、データ暗号化、侵入検知、監査証跡は必須条件。変更履歴と承認者の紐付けが、後日の説明責任を支えます。

また、NACCS連携ではフォーマットの完全性とタイムスタンプの整合が重要。ログ保全とバックアップ計画、BCP対応もチェックリストに入れておきたいところです。

  • 権限設計:最小権限・職務分掌・二系統承認
  • 監査性:改ざん検知、完全な操作ログ
  • 保全:暗号化、バックアップ、DR計画

一気通貫の価値:Shippio Works/Cargoとの連携

Shippioはコミュニケーション基盤のWorks、荷主向けのCargoを提供しています。Clearを組み合わせると、案件生成から通関、情報共有までをクラウド一箇所で回せます。

メールやスプレッドシートの行ったり来たりが減り、状態の単一の真実ができる。結果として、コミュニケーションコストと認識齟齬が目に見えて下がります。参考:Shippio Platform

  • 案件データのシームレス連携
  • 社内外の閲覧権限と共有リンク
  • 変更差分の自動通知

導入の進め方:90日パイロットで腹落ちさせる

まずは対象業務を海上輸入など絞り、代表的な書類パターンを10〜20案件選定。As-Isの基準時間を測り、Clearで処理した差分をKPIで比較します。

同時に、HS分類のレビュー基準を作り、承認フローを明文化。社内規程と矛盾がないかを監査と一緒に確認し、正式運用へ移行します。投資対効果は、二重チェック時間と手戻り減が効きやすいです。

  • 準備物:過去書類セット、マスター、承認フロー図
  • KPI:処理時間、エラー率、再入力回数、問い合わせ件数
  • 想定ROI:人時削減+誤記是正コスト削減+リードタイム短縮

まとめ:AIで現場はもっと軽くなる

Shippio Clearは、通関のボトルネックをデジタル化するツールです。97%の読み取り精度、NACCS自動生成、過去データの活用という三点セットが、工数の約7割削減を後押しします。

ただし、分類の最終判断や例外処理は人の役割です。AIの提案力と人の洞察を組み合わせ、監査に耐える運用でスケールさせましょう。詳細はPR TIMES公式サイトを参照ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次