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Oracle NetSuiteがUXを全面刷新しAIドリブンの更新を発表

目次

業務画面が“軽くなる”という進化

日々の伝票処理や承認で開く画面が、思っていたよりもすんなり終わる。
その小さな体験が積み重なると、ERPの価値は一段跳ね上がります。

Oracle NetSuiteが打ち出したUX刷新は、その「軽さ」を目標に据えています。
最新のデザインシステムとAIを組み合わせ、意思決定の速さと正確さを底上げする狙いです。

刷新の要点:Redwood UXとAIのネイティブ統合

今回のアップデートは、見た目の変更に留まりません。
操作フローの再設計、情報密度の最適化、そしてAI推奨の“置きどころ”までが見直されています。

  • Oracle Redwood Design Systemに準拠した新UI。ダッシュボード、リスト、フォームを中心に視認性と一貫性を強化
  • 生成AIの標準組み込み(Text Enhanceなど)。財務・在庫・サプライチェーン・営業文面の自動起草と改良
  • 日本向けローカライズAIや新モジュール強化。フィールドサービス管理、業種別テンプレート、ライセンス柔軟化
  • 役割ごとの推奨と例外検知。日常業務に溶け込むAIで手戻りと滞留を削減

実装の背景は以下の通りです。
EnterpriseZineはRedwoodによる全体UX強化を報じ、日本語対応AIなどの追加も明らかにしました。

Oracle Redwood Design System:スイート全体で最新のユーザーエクスペリエンスを提供することで、組織がより効率的にタスクを遂行できるよう支援。
出典:EnterpriseZine

すぐに試せる使い方:日常業務への“溶け込み”方

財務チーム:例外検知と説明文の自動生成

ダッシュボードで異常値ウィジェットを確認し、AIの示す原因候補をたどって仕訳を点検。
決算注記や差異説明はText Enhanceで初稿を生成し、監査証跡を添えてレビューを回します。

  • 例外リストを絞り込み → 影響額でソート → 対応テンプレを適用
  • 注記のドラフトをAI生成 → 用字・数値を最終確認 → ワークフロー提出

サプライチェーン:在庫・需要の推奨活用

在庫カードに現れるAI推奨を起点に、補充・振替の候補を比較。
過去の出荷遅延や季節性を踏まえた推奨を、そのまま発注案に反映します。

  • 需要予測の信頼区間を確認 → 安全在庫の再計算 → 発注案作成
  • リードタイム警告を考慮 → サプライヤ別の代替提案を検討

営業・サポート:文面の質とスピードを両立

見積条件の変更理由や値引きの根拠説明は、AIがERP内データを文脈化。
メールやケース応答は、「丁寧・簡潔・技術語少なめ」などのトーン指示で一発整形できます。

  • 見積書の補足文を自動起草 → 社内承認 → 顧客送付
  • クレーム応答テンプレをAIが差し替え → 個別事象に最適化

機能の深掘り:Text EnhanceとCode Assistの実力

NetSuite Text Enhanceは、ERP内の取引・商品・顧客データを参照し、文脈に沿った原稿を提案します。
人の最終チェックを前提に、初稿作成の手間を短縮するのが狙いです。

一方、開発者向けにはOracle Code Assist(SuiteScript最適化)が提供され、定型コード生成や単体テストの支援、ドキュメント作成を加速します。
スクリプトの質を底上げしつつ、デプロイまでのリードタイムを短くできます。

「スイート全体にAI機能が組み込まれているため、お客様はログイン後すぐにAI機能をご利用いただけます。」
出典:PR TIMES(日本オラクル)

これらのAIはOCI Generative AI上で提供され、テナント境界やロール制御の内側で動作します。
機密データの扱いと運用監査の両立が図られています。

デザインの論理:Redwoodがもたらす“認知負荷の削減”

新UIは、色・余白・タイポグラフィのトークン化で一貫性を担保。
頻度の高い操作を上位に、詳細情報は必要時に展開する設計で、画面遷移を最低限に抑えます。

  • 視線誘導:主要アクションは右下・下部シートなど指先の動線に最適化
  • 状態表現:エラー、警告、成功のコンポーネント表現を統一し、迷いを減らす
  • アクセシビリティ:コントラストとフォーカスリングを改善し、キーボード操作を強化

結果として、一覧→明細→承認の流れが少ないクリックで完結。
“遅い・重い・見つからない”というERPの三重苦を、UIから切り崩します。

セキュリティとガバナンス:生成AIの境界線

AI機能は、ユーザーのロールに紐づく可視範囲のみを参照して推奨を提示。
推奨の生成過程や採用・棄却のログを残し、監査性を確保します。

OCI Generative AIでは、顧客データがLLMプロバイダーと共有されることはありません。
出典:PR TIMES(日本オラクル)

日本向けのローカライズAIは、用語や帳票文化にも配慮。
現場が受け入れやすいガイダンスに寄せて、導入初月からの活用を後押しします。

導入の進め方:最短で効果を掴むチェックリスト

  • パイロット範囲の特定:財務の例外処理、在庫補充、営業文面起草など効果が見えやすい領域から
  • Redwoodダッシュボード再設計:役割ごとにKPI→行動導線→詳細の順に再配置
  • プロンプト設計:Text Enhanceのトーン・制約・参照データの明記で再現性を確保
  • ガバナンス整備:AI推奨の採否ルール、監査ログの保管、権限の棚卸し
  • 計測指標:承認リードタイム、例外処理件数、初稿作成時間、在庫回転日数

導入時の落とし穴は、旧ウィジェットの持ち込みと権限の過剰付与です。
“見せたい情報”ではなく、“次の行動が決まる情報”に絞り込むことが成功の鍵です。

総括:中堅〜大企業の基盤を、UIとAIで更新する

NetSuiteの刷新は、単なる化粧直しではありません。
画面設計のゼロベース見直しと、AIによる推奨・自動化の織り込みが同時に進みました。

これにより、ミスの少ない運用と意思決定の高速化が両立。
基幹の“触り心地”が改善されると、現場の抵抗は驚くほど小さくなります。

まずは財務と在庫の2領域から。
Redwoodでダッシュボードを再設計し、Text Enhanceのプロンプト運用を始めれば、導入初月から成果が可視化できます。

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