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OpenAIがエンタープライズ重視へ—Spotify・Zillow・Mattelなどと提携拡大、アプリ連携機能も発表

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会話が“入口”になる時代へ—OpenAIの合図

OpenAIが開発者カンファレンスで示したのは、企業ユースに直結する明確な方向性だ。
ChatGPTをただのQ&Aから、仕事や生活のアクションを起点にする“玄関口”へ移行させる。
そのための実装が、アプリを会話内で直接呼び出す新機能だ。

パートナーはSpotifyやZillowなどの消費者サービスにとどまらない。
企業向けの連携も進み、ワークフローを横断する新しいレイヤーを取りにきている。
“企業向けが巨大な成長領域”というメッセージが、実装と提携の両輪で裏づけられた。

何が発表されたのか—ChatGPTがアプリのOS化へ

新機能の要は、ChatGPT内でSpotifyやZillowなどのアプリ機能をそのまま実行させるという体験だ。
会話の中でアプリ名と用件を伝えるだけで、必要な認可を経てアプリが動き、結果がチャットに返る。
OpenAIはこの体験を支えるApps SDKもあわせて提供し、開発者が自社バックエンドに直結したアプリを構築できるようにした。

複数の主要メディアがこの動きを詳細に報じている。
例えばBloombergは、チャットからプレイリスト作成や不動産検索までが完結すると伝える。
CNET JapanやImpress Watchも、提供開始地域やパートナーの顔ぶれを整理している。

OpenAI is making it easier for ChatGPT users to connect with third-party apps within the chatbot to carry out tasks…

Bloomberg

連携パートナーの広がり—Spotify / Zillow / Mattel ほか

初期の公式パートナーとして、Booking.com、Canva、Coursera、Figma、Expedia、Spotify、Zillowが名を連ねる。
音楽、旅行、学習、デザイン、不動産など幅広い領域をカバーし、日常とビジネスの両面を押し上げる構図だ。
今後、DoorDashやOpenTable、Targetなどの追加も報じられている。

注目は、エンタープライズ文脈でのブランド連携が加速している点だ。
開発者コミュニティのまとめでは、Mattelの名が挙がるなど、既存の大手企業を巻き込む胎動が見える。
ChatGPTが“アプリのOS”になるという見立ては、B2C/B2B双方の接点を増やすことで現実味を帯びてきた。

使い方ガイド—ChatGPTからアプリを呼び出す

基本の流れ

  • アプリを話題に出す:『Spotifyで金曜のパーティー用プレイリストを作って』のように自然言語で依頼する。
  • 接続許可:初回はChatGPTがアプリ接続を促し、範囲(*scopes*)を確認して承認する。
  • 対話で微調整:気分やジャンル、テンポなどを追加指定。結果がチャット内の専用UIで返る。

注意点と小ワザ

  • 地域・言語:提供地域や言語は段階的。利用環境によっては英語設定が必要になる場合がある。
  • アカウント連携:各アプリ側の契約やログインが前提。権限は必要最小限に限定して承認する。
  • 画面遷移:内見予約など一部操作は外部ページに遷移することがある。

詳細な初期パートナーと提供状況は複数のメディアで確認できる。
まずはSpotifyとZillowの王道コンビで、音楽と不動産を試すのがおすすめだ。
UIの完成度と、対話での微調整のしやすさを体感できる。

企業導入の意味—エンタープライズ重視の布陣

OpenAIは“個人の便利”に留まらず、企業の現場を取りに来ている。
アプリ連携はSaaSに馴染んだ社員に浸透しやすく、研修コストを抑えながら既存業務を強化できる。
さらに、Apps SDKにより自社システムへの“短い橋”を架けられるのが大きい。

パートナー戦略も企業寄りだ。
例えばSalesforceとの提携は、CRMやコマースの現場での適用余地を広げる。
生成AIの価値を“企業の売上と効率”という共通言語に翻訳する動きが加速する。

技術の裏側—Apps SDKと権限設計

Apps SDKは、会話→コマンド変換→アプリ実行→結果可視化の一連を抽象化する。
コネクタを通じて各サービスと対話し、スコープ最小化ユーザー明示許諾で安全性を担保する。
UIはチャットに最適化され、カード、マップ、リストなどが埋め込み表示される。

開発者視点では、アクション定義とハンドラ実装が中核になる。
自然言語の曖昧さを許容しつつ、バリデーションを丁寧に設計することが品質を左右する。
監査やログ設計、レート制御などの運用面も、エンタープライズ導入では必須だ。

競争地図の変化—ゲートウェイを巡る主導権争い

アプリを“呼び出す”のではなく“走らせる”。
この転換は、モバイルOSやブラウザが担ってきたゲートウェイ機能の再定義だ。
会話がフロントエンドになれば、検索や起動の導線が根本から変わる。

BloombergやEntrepreneurは、ChatGPTがデジタルサービスへの主要入口になろうとしていると指摘する。
大手プラットフォーマーとの競争軸は、UIではなく“仕事が終わる速さ”に移る。
サービス横断の意思決定スピードが、新しい勝ち筋だ。

リスクと設計判断—データ共有と依存のバランス

便利さの裏に、データ共有リスクがある。
どのデータがどのアプリに渡るか、スコープを常に可視化し、最小権限で運用することが重要だ。
業務で使うなら、監査ログやDLP、SSOとの連携も前提にしたい。

プラットフォーム依存も論点だ。
ワークフローが会話ハブに集約されるほど、切替コストが上がる。
SDKの抽象化に頼りすぎず、脱却可能性を残すアーキテクチャで臨もう。

結論—“会話が仕事を進める”が標準になる

OpenAIの新機能と提携拡大は、生成AIを“答える道具”から“実行する基盤”へ押し上げた。
会話がアプリを起動し、結果がその場で返り、次の意思決定につながる。
この循環が、日常と業務の両方で生産性の底上げをもたらす。

企業視点では、Apps SDKで“自社の強み”を会話に埋め込む好機だ。
小さく作って早く回し、スコープ最小・監査前提で広げる。
ゲートウェイの主導権争いが熱を帯びるなか、いち早く“会話ドリブン”に舵を切る価値は大きい。


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