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Oracle OCIのGenerative AIコンソールを刷新—運用UIを大幅アップデート

目次

現場目線で“回せる”生成AIへ—コンソール体験の再設計

Oracle Cloud InfrastructureのGenerative AIコンソールが、運用ファーストの設計にアップデートされました。
11/12付のリリースノートでは、モデル管理、データフロー、ログ分析まで横断するUI改善が示され、関連サービスの見直しと合わせて“運用性の底上げ”が意図されています。

これにより、モデルの配置から監視、トラブルシューティングまでの往復動線が短縮されます。
日次の安定運転やSLO担保を求められるチームにとって、クリック数と迷いを減らす再設計は実効的です。

アップデートの要点と背景

なぜ今、コンソールの刷新なのか

OCI Generative AIは企業内データと安全に接続できる前提で拡張されてきました。
AgentsやDatabase、OpenSearchなど周辺機能が厚くなるほど、運用の“見える化”がボトルネックになりがちでした。

  • モデル運用の可視性向上:エンドポイント、バージョン、使用量、エラーを一画面で追える導線に整理
  • データフローの明確化:ナレッジベースやインデクシング状況、更新時刻を俯瞰
  • ログ/メトリクスの集約:呼び出し遅延、トークン/スループット、リトライ比率などの監視を集中的に

公式のリリースノートとサービス概要は継続的に更新されています。
OCI Generative AI リリース・ノート生成AIサービスの概要を参照してください。

新コンソールの歩き方:モデル運用を短距離化する

モデルとエンドポイントの“ひと目”把握

新しい一覧画面は、モデルの種類(Cohere/Meta系など)、バージョン、デプロイ状態、リージョン、スループットを揃えて提示します。
一覧から直接メトリクスとログへジャンプでき、異常値の深掘りに迷いません。

  • 即時ドリルダウン:一覧→メトリクス→対象ログの3クリック動線
  • バージョン差分:トラフィック切替時に前後の遅延やエラー差を比較
  • クォータ/コスト感度:利用量と制限値を同一パネルで確認

“使う・見る・直す”を一枚の流れにすることで、SRE/ML Opsのコンテキストスイッチを抑えます。
本番の安定化と検証サイクルの短縮に直結します。

データフローとナレッジの管理:RAG前提の導線

ナレッジベースとインデクスの健全性

RAG構成の心臓部であるナレッジベースは、データ取り込み状況、再インデックス履歴、データ新鮮度の表示が要。
新UIでは、接続元(Object Storage/ADB/OpenSearch等)とインデクス健全性を横並びで確かめられます。

  • 更新の可視化:最終取り込み時刻と件数でドリフトを検出
  • 再インデクスの手順短縮:対象だけを部分的に再構築して停止時間を最小化
  • 関連付けの追跡:エージェント、プロンプト、ツール呼び出しの関係性を簡潔に表示

OCI Generative AI Agentsの設計意図は、RAGやツール実行まで含めて“ノーコードに近い運用体験”を提供することです。
OCI AI Agent Platform生成AIエージェントの概要も合わせて確認しましょう。

監視・ログ分析:遅延と失敗の“原因”まで寄せる

メトリクス×ログの隣接で復旧を速く

遅延悪化や失敗率の上昇を検知しても、原因究明に時間がかかるのが実運用の壁です。
新UIは、メトリクスの異常点から該当リクエストのログへシームレスに遷移できる導線を強化しています。

  • 主指標の標準化:P50/P95レイテンシ、失敗率、スループット、トークン消費
  • 相関確認:プロンプト長、ツール呼び出し回数、コンテキスト量との相関を素早く把握
  • 外部要因の切り分け:下位リソースやネットワーク指標へのリンクで因果を推定

OCIのログ/メトリクス基盤と連携することで、既存の監視ポリシーに自然に組み込みやすくなりました。
“見える”だけでなく“直せる”までの距離が縮まっています。

関連サービス連携:Agents、Database、OpenSearchの一体感

RAG/ツール実行/データ接続をワンフローに

Agentsは、計画・検索・リランキング・生成・統合の流れをマネージドにまとめます。
新コンソールでは、各構成要素がばらけて見えがちなRAG環境を“ひとつのジャーニー”として辿れます。

  • Database連携:Autonomous Databaseやベクトル検索との接続状態を可視化
  • OpenSearch/ログ:検索や再ランク付けの挙動をログ面で検証
  • 権限とセキュリティ:ポリシーやネットワーク境界の確認を同一導線に

Oracleは技術スタック全体に生成AIを埋め込む方針を掲げています。
以下は公式発表の一節です。

“OCI Generative AI service now generally available with choice of models from Cohere and Meta in the cloud and on-premises.”
Oracle Newsroom

移行の実務:運用設計を“UIに合わせて”軽量化する

ベストプラクティスと落とし穴

UI刷新は設計再考の好機です。
既存の運用Runbookを“新しい導線”に合わせて薄く短くすることで、エスカレーションを減らせます。

  • Runbook最適化:メトリクス→ログ→原因特定の短距離導線に沿って章立てを再編
  • SLO/アラート再定義:新メトリクスの閾値に合わせ、過検知/過負荷を抑制
  • 権限の粒度調整:閲覧・操作範囲をUI単位で再評価し、誤操作を予防

段階的移行を基本に、影響範囲の小さいチームから適用すると安全です。
検証環境でのメトリクス/ログ整合性チェックを忘れずに。

関連ドキュメントとリソース

サービスの背景や狙いを把握するうえで、上記の公式ドキュメントは有用です。
更新は頻繁なので、ブックマークして定期的に確認しましょう。

まとめ:運用の“距離”を縮めるUIは、最強のコスト削減

今回のコンソール刷新は、単なる見た目の変更ではありません。
モデル、データフロー、ログという縦割りを横断し、障害対応や最適化の距離を短縮する実務的な前進です。

“速く見つけ、速く直す”という原則に寄せたUIは、そのままSLO達成率と運用コストの改善に響きます。
まずは主要ワークフローを新しい導線に合わせ、Runbookとアラートの“痩身化”から始めてみてください。

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