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茨城県×NTT DXパートナー、AIエージェント実証を開始—財務審査等の行政業務を自動化へ

目次

行政の「判断」を自動化へ――茨城県が踏み出す次のDX

茨城県が、生成AIの判断とRPAの自動実行をつなぐAIエージェント実証を始めました。
狙いは、申請審査や財務会計のチェックなど、職員の時間を大きく奪う反復的な業務を賢く減らすことです。

開始は9月24日。
まずはPoCで設計と有効性を確かめ、年度内に特定業務へ段階展開します。

「読み・照合・実行」をつなげる構成は、自治体DXの次の常識になりそうです。
現場に寄り添う段取りで、失敗しない自動化の実像を見ていきます。

実証の全体像とタイムライン

本実証は、生成AIによる判断RPAなどのツール連携を組み合わせ、行政事務の自動化を検証します。
モデルケースは財務会計処理の審査業務。そこから許認可・補助金審査などの拡張を見据えます。

  • 開始日: 2025年9月24日
  • 前期(9〜10月): PoCで自動化フローの設計と基盤連携を検証
  • 後期(11〜翌3月): 全庁業務を調査し、優先業務で実装環境を構築

生成AIによる判断機能とRPAなどの各種ツール連携により業務を自動化する「AIエージェント活用実証実験」を、2025年9月24日より開始

出典: 時事ドットコム(PR TIMES配信) / PR TIMES / VOIX

NTT DXパートナーは、企画から運用・効果検証まで伴走する体制。
自治体DXの知見を土台に、現場適合とガバナンスを両立させます。

仕組みの核心——AIエージェント×RPAの連携

判断レイヤー(LLM/生成AI)

  • 入力の正規化: 申請書・添付書類・台帳データを統一フォーマットへ
  • 規程照合: 審査観点を知識ベース化し、適合・要修正・保留を推定
  • 根拠提示: 条項や過去類似事例を引用し、判断理由を可視化

実行レイヤー(RPA/システム連携)

  • 台帳更新・起票: 会計システムや文書管理への登録を自動化
  • 通知・差戻し: 不備指摘テンプレートで申請者へガイドを送付
  • 例外ルーティング: 閾値以下の案件のみ人へエスカレーション

監査レイヤー(記録・統治)

  • 証跡ログ: 入力・判断・実行の全イベントをタイムスタンプ付きで保存
  • ルール管理: 審査基準の改定をバージョン管理し追跡可能に
  • 人間の最終責任: Human-in-the-Loopで最終承認を担保

ポイントは「AIが考え、RPAが動く」。
役割分担を明確にすることで、誤作動時の影響を限定し、改善も容易になります。

想定ユースケース——財務審査から申請受付まで

  • 財務会計の審査: 伝票の整合性チェック、科目判定、証憑の不足検知、差戻し理由の自動生成
  • 許認可審査: 要件照合、欠落書類の抽出、審査観点メモの自動起案
  • 補助金審査: 予算枠・加点要素の照合、同一人物・重複申請の疑義検知
  • 住民問い合わせ一次対応: 進捗確認や必要書類案内を自動応答し、担当部署へ連携

共通するのは「AIが下処理、ヒトが最終判断」です。
作業の山を先に削ることで、審査の質とスピードを両立できます。

実証フェーズでは、対象・閾値・責任分界点をクリアに定義するほど、スムーズに量産展開へ移れます。

使い方ガイド——現場での導入ステップ

準備と設計

  • 業務棚卸し: 入力形式・判断基準・例外ケースを洗い出す
  • ルールの定文化: 審査観点を項目化し、重み付けと閾値を設定
  • 人の介入点: どの条件なら人がレビューするのかを明記

PoCの回し方

  • ゴール指標: 処理時間削減、差戻し率、判断一致率、説明可能性
  • 安全策: サンドボックスで運用、実データの匿名化、二重承認
  • 反復改善: 誤判定の学習、プロンプト・ルールのチューニング

本番展開

  • 段階移行: 対象業務を徐々に拡大し、夜間・繁忙期へ適用
  • KPIの定着: 月次でKPIと品質監査をレビュー、閾値を最適化
  • 教育: 職員向けに、根拠の読み解き方と例外処理の実地訓練

「まずは一業務で成功体験」を作ることが、組織浸透の最短距離です。
成功の型をテンプレ化すると、横展開が一気に進みます。

セキュリティとガバナンス——公共ならではの設計注意点

  • データ保護: 個人情報は最小化・匿名化。機微データは分離保管。
  • ネットワーク分離: LGWANやガバメントクラウド方針に沿い、接続経路を最小化。
  • 監査と追跡: 全処理の監査ログ、プロンプト・モデル版数の記録。
  • モデル安全性: 出力フィルタ、プロンプトインジェクション対策、外部参照の許可制。
  • 規程順守: 説明責任、再現性、職務権限との整合。ISMAP/ベンダーの適合性確認。

公共領域では「説明できる自動化」が肝です。
根拠付きの判断と証跡の整備が、現場と監査の双方の不安を解きます。

ベンダーの強み——NTT DXパートナーが担う伴走

実証の推進役はNTT DXパートナー。
自治体DXの知見を活かし、要件整理から効果検証までをワンストップで支援します。

行政運営の効率化と住民サービスの高度化に向け、AIエージェント活用実証実験を開始。全庁的な業務調査を行い、優先度の高い業務から自動化を実装。

出典: PR TIMES / 企業情報: NTT DXパートナー / 生成AI導入支援: サービス紹介

実務に寄った要件化、既存システムとの接続、RPA設計の最適化は、現場の生産性を左右します。
伴走型での小さな成功の積み上げが効果を最大化します。

ここを見る——効果測定と現場の納得感

  • 処理時間: 1件あたりの審査時間、リードタイム短縮率
  • 品質: 誤判定率、差戻し率、判断の一貫性
  • 職員体験: 残業時間の変化、集中すべき審査へのシフト度合い
  • 住民体験: 進捗通知の迅速さ、問い合わせ削減、満足度

定量指標とともに、現場の納得を測る定性評価も欠かせません。
説明可能性と例外対応の滑らかさが、運用の定着を決めます。

まとめ——9/24始動、PoCから実装へ段階展開

茨城県の実証は、AIの判断RPAの実行をつないだ行政自動化の実験場です。
9/24に始まり、PoCで型を作り、優先業務から実装へと進みます。

鍵は、対象の絞り込み・閾値設計・監査性
「説明できる自動化」を積み上げれば、審査・会計・受付など広い領域で効果が見込めます。

全国の自治体にとっても再現可能なアプローチです。
まずは一業務から、証跡とKPIで確かな前進を。

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