スピードが正義の時代へ
生成AIの登場からわずか2年あまりで、デザイナーの朝は劇的に変わりました。
コーヒーを淹れながらプロンプトを投げると、数十秒でワイヤーフレームが返ってくる。
2025年の今日、“まず描く”より“まず書く”が当たり前になりつつあります。
背景には、LLMのマルチモーダル化と、Figma・Adobeなど既存ツールとのAPI連携強化があります。
手作業でのUI設計は「検証フェーズに集中」し、粗いラフはAIに任せる枠組みが定着し始めました。
プロンプト駆動UIデザインとは何か
プロンプト駆動UIデザインとは、テキスト指示を起点に画面構成・コンポーネント・配色までも自動生成し、プロトタイプを高速で反復する手法です。
ポイントは「生成→編集→再生成」のループを最短化して学習データとして蓄積すること。
結果として、ユーザー検証へ回す時間を最大化できます。
- 自然言語でデザイン意図を表明
- AIがレイアウトとスタイルを提案
- Figmaなどで微調整し再学習へフィードバック
主要ツール早見表 – 2025年版
市場には数十種の生成AIデザインツールがありますが、用途で大別すると次の3グループに収まります。
- UI特化型 – Galileo AI, Penpot Copilot
- 画像生成+レイアウト – Adobe Firefly, Microsoft Designer
- 統合IDE型 – Figma AI, Framer AI
Galileo AIは日本語プロンプトに正式対応し、ボタン・フォーム・カードなどを文脈に合わせ配置できます。
Fireflyは2025年春のアップデートで“Template Fill”を実装し、バナーとUIを同時に生成可能になりました。
ハンズオン: Galileo AIで30分プロトタイプ
ここでは実際に「個人資産管理アプリ」のトップ画面を作る流れを示します。
- Galileoのダッシュボードで新規プロジェクトを作成
- プロンプト欄に
『20代社会人向け、ミニマル、ダークモード、資産総額カードと円グラフ、支出カテゴリ一覧』
と入力しGenerate - 約15秒で4案が出力。気に入った案を“Export to Figma”
- Figma側でフォントと配色トークンをチーム規定に変更
- GalileoのRefine機能で「貯蓄率バッジを追加」と再指示
ここまでで約30分。従来は半日かかっていた手作業が大幅に短縮されました。
生成後の編集操作は“否定”より“追加”のほうが精度が高い ─ Goodpatch Blog
Figma AI・Microsoft Designerで磨きをかける
Figma AIは2025年4月のアップデートで、ページ内容を分析して不足コンポーネントを提案するAuto Suggestを導入しました。
Designerはプレゼン資料用のモックアップまで同時生成でき、マーケチームとの受け渡しが滑らかです。
実務では以下のワークフローが定番になりつつあります。
- Galileoで粗いワイヤーフレーム生成
- Figma AIでデザインシステムに適合
- Designer/Fireflyでヒーローイメージやアイコンを差し替え
- Framer AIで動的プロトタイプを公開
この分業により、開発着手までのリードタイムが平均40%短縮したという社内事例も報告されています。
プロンプト設計5つのコツ
① 役割明示
「あなたはアプリUIデザイナー」と前置きするだけで出力が安定します。
② 情報階層を箇条書き
- トップカード:残高・目標額
- チャート:週次・月次
- CTA:入金・設定
③ トーン&マナーを数値化
“Minimal 70 / Playful 30”のように比率を示すと誤解が減少。
④ 制約条件を最後にまとめる
例:『iOS Human Interface Guidelines準拠、8ptグリッド』。
⑤ 再利用可能なテンプレ化
NotionやChaproのスニペット機能に登録し、学習コストを削減しましょう。
変わるワークフローとこれから
プロンプト駆動デザインは“人を置き換える”のではなく、検討の幅を拡張する技術です。
デザイナーはビジュアル表現とユーザー調査により多くの時間を割き、AIはバリエーション生成を担う。
2025年後半には、リアルタイムA/Bテストと接続する自律型デザインエージェントのβ版も噂されています。
法務・アクセシビリティの自動チェック、ユーザーフィードバックの要約提案など、周辺領域との連携が次の競争軸になるでしょう。
まとめ – デザインの民主化へ
生成AIの普及でUI/UXの入り口ハードルは大きく下がりました。
“思いついたらまずプロンプト”という文化は、デザイナーだけでなくマーケターやエンジニアのアイデアも迅速に形にします。
一方で、AIが生み出したアウトプットを評価・改善するクリティカルシンキングの重要性は増すばかり。
道具が進化した今こそ、ユーザー体験の本質を見抜く力を磨き、AIと共創する次世代のデザインプロセスを築きましょう。
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