軽さ49gが拓く“顔に載るAI”のはじまり
スマホより速く、イヤホンより視覚的で、PCより近いところにいるAIが現れました。
鍵は49gの軽さと、視界に情報を載せるディスプレイ、そして音声UIです。
Rokid Glassesは、メガネの装いで日常に溶け込みます。
翻訳、ナビ、撮影、ノート取りが視線と声で完結し、生成AIの“新しい入口”を作ります。
なぜ今、次の波なのか
生成AIは入力が速いほど価値が増します。
音声と視界の常時アクセスは、AIが人に“寄り添う”最短ルートです。
その最前線が、AI×ARの軽量グラスです。
Rokidはこの文脈で強い初速を示しました。
台湾・華語圏で加速する初期需要と記録的スタート
Rokid Glassesはクラウドファンディングで記録的な初速を示しました。
開始72時間で約1.5億円規模を達成し、AIグラスの期待感を可視化しました。
「それから72時間ほどで、事前予約の金額は約1億5000万円に達した。」
出典:CNET Japan
華語圏の小売・予約動向も追い風です。
香港・台湾圏での現地最適化(広東語音声、実店舗導線)が、普及の足場を固めています。
「広東語音声コントロール、リアルタイム翻訳、ARナビ、HD撮影をサポート。」
出典:Broadway Lifestyle
初速の意味
“装着できるAI”に対する需要は、音声だけのプロダクトより広い可能性があります。
視覚提示が加わることで、AI体験の密度が一段上がるからです。
何が違う?Ray-Ban世代との決定的差分
先行するRay-Ban Metaなどは、音声とカメラ中心の“聴覚インターフェース”でした。
Rokidはここにヘッドアップディスプレイ(HUD)を加え、視界でAIを体験させます。
「Rokid Glassesは…Ray-Banの3つの強みにHUDを搭載。」
出典:CNET Japan
49gの軽さは“常時装着”を可能にします。
表示があることで、翻訳やプロンプター、ナビが“目の前”に落ちてきます。
見た目と日常性
普通のメガネに近いシルエットで、街に馴染むことも武器です。
「使えそう」から「毎日使う」へ、心理的な壁が下がります。
使い方ガイド:今日から効く3つのシーン
旅行・越境コミュニケーション
- 同時翻訳:相手の声を拾い、視界に母語で字幕表示。
- 看板・メニュー翻訳:カメラで読み取り、即時オーバーレイ。
会話も掲示も、“分からない”を残しません。
視線を外さず意思疎通できます。
プレゼン・配信・現場説明
- テレプロンプター:話すべき要点を視界に薄く表示。
- ハンズフリー撮影:目線のまま記録し、メモはAIで要約。
カンペや機材の煩雑さを排し、話すことに集中できます。
一人でも質を落としません。
街歩き・運転・移動
- HUDナビ:進むべき方向が見える形で提示。
- 音声操作:両手を塞がず情報検索や連絡が可能。
スマホを取り出す手間が消えます。
“ながら”の安全性と効率が上がります。
技術の中身:オンデバイス×クラウドのハイブリッド
Rokid Glassesは軽量な筐体に、視覚と音声の両インターフェースを統合。
Snapdragon AR1やNXP RT600、マイクロLEDのHUD、12MPカメラといった堅実な選択です。
「49g、Qualcomm Snapdragon AR1とNXP RT600、1500ニトのデュアル緑色MicroLED、12MPカメラ…」
出典:innovaTopia
翻訳や要約などはクラウド連携で拡張しつつ、軽量処理はローカルでも回す。
オンデバイスAIと大規模モデルの橋渡しを、音声UIが支えます。
「比較的軽量な処理ではスマホ連携でAI処理を行い、オフラインでも動作。」
出典:sharp_engineer(CES 2025所感)
現地適応と拡張
広東語音声やGDPR準拠のプライバシー配慮など、地域要件への対応も進みます。
長期の普及にはこの地味な最適化が効きます。
市場地図:中華圏から広がるAIウェアラブル
中国・華語圏ではXREALやThunderbird、INMOなどがひしめき、AR×生成AIの競争が熱を帯びています。
スマホ大手やプラットフォーマーも続々参戦の構えです。
「XrealやRokidなどのベンチャーに加え、ファーウェイ、テンセント、バイドゥ、バイトダンス、OPPO、VIVOも参入の計画。」
出典:DG Lab Haus
AIグラスの比較情報も充実し、消費者の理解は確実に進みました。
“軽く、目立たず、使える”が普及の三条件です。
「AIグラスはカメラやマイク、スピーカーを内蔵し、音声指示で操作。軽量さが特徴。」
出典:MoguLive
Rokidの立ち位置
“49gでディスプレイあり”という解は、日常性と機能性の均衡点です。
価格もミドル帯で、広い層を狙えます。
課題とエチケット:常時カメラ社会の合意形成
装着型カメラは、便利さと引き換えに視られる側の安心を揺らします。
点灯インジケーターや録画通知、データ最小化は標準装備になるべきです。
「録画時はライトで周囲に通知し、データ処理はGDPRに準拠。」
出典:Broadway Lifestyle
もう一つはAI依存のバランスです。
翻訳や要約に任せすぎれば、語学や記憶の筋力が落ちる懸念もあります。
プロダクト側の宿題
・録画時の周囲通知をより明確に。
・顔認識や識別系は原則オプトイン。
・学校や医療、企業などの利用指針を共創。
投資・導入の視点:何を見れば失敗しないか
組織導入では、ユースケースの“定常運用”化が成否を分けます。
単発デモで終わらせない仕掛けが必要です。
チェックリスト
- 業務適合:翻訳、点検、講義、接客などに継続的な価値があるか。
- 運用負荷:充電、消毒、貸出・在庫管理の動線が設計済みか。
- データ設計:録画・テキスト化の保存期間、閲覧権限、匿名化の方針が明確か。
- 現場訓練:音声プロンプトの型、視覚UIの最適距離、エチケット教育が用意されているか。
導入前PoCでは、紙のマニュアルをAIに置き換えるなど、明快なKPIを。
“手離れの良さ”がROIを決めます。
まとめ:生成AIの新しい入口は“顔に載る”
Rokid Glassesの初速は、AIの入口がスマホから顔へ移る兆しです。
視界と音声の常時アクセスにより、AIはより“その場にいる相棒”になります。
一方で、プライバシーや社会的受容の設計は欠かせません。
機能とエチケットの両輪が揃ってこそ、大衆普及の扉が開きます。
次の一年は、軽さ・見た目・価格・倫理の最適点を競うフェーズです。
“毎日かけられるAI”を制した企業が、ポストスマホの入り口を手にします。

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