現場が主役になる、AI内製の新しい合図
トップダウンから、現場起点へ
「やりたいこと」を書けば、業務AIアプリが立ち上がる。
そんな現実的な内製の道筋を示したのが、ELYZAの新サービス『ELYZA Works』です。
現場が先に試し、成果を見せ、チームで共有して広げていく流れを無理なく作れます。
鍵は、専門知識を要さないことと、組織利用を前提にした仕組み化です。
フォーム型の使いやすいUI、RAGによる社内知の活用、権限管理までを一気通貫で備えるので、属人的なプロンプト術から卒業できます。
「まず動くもの」を最短で作り、すばやく学習・改善するための器が整っています。
ELYZA Worksとは何か
内製を加速する、業務AIアプリの作成・共有プラットフォーム
『ELYZA Works』は、生成AIアプリの企画・作成・配布・改善をワンストップで回せる法人向けツールです。
現場のメンバーが自然言語で要件を書くだけで、AIがフォーム設計や処理手順を提案し、アプリ化まで伴走します。
RAG対応、チーム共有、利用権限管理を標準装備し、企業のガバナンスの下で横展開できます。
公式発表では、PR TIMESやASCIIが機能の全体像を伝えています。
以下はプレス文言からの抜粋です。
AIの伴走により現場社員自らが自社専用AIアプリを作成でき、チーム利用が可能。
出典: PR TIMES
やりたいことを入力することで自社専用の業務AIアプリをAIが自動で作成。RAG機能などにも対応。
出典: ASCII STARTUP
最短ルートで始める使い方
「やりたいこと」からアプリまで、5つのステップ
UIはフォームベースで直感的です。
はじめてでも下記の流れで迷いません。
- 要件入力:自然言語でタスクや期待アウトプットを書きます。例「契約書の重要条項を要約し、差分を箇条書きで」
- AI提案を採用・修正:フィールド構成、前処理、出力形式をAIが提示。必要に応じて追記・修正
- 社内データを参照:RAGで規程、ナレッジ、FAQ、過去成果物を接続。アップロードやデータソース選択で完了
- テスト&評価:サンプル入力で挙動を確認。テストデータの自動生成も可能
- 公開・共有:チーム公開、権限設定、利用状況の可視化まで一気通貫
フォーム化されたアプリは誰でも同じ操作で再現可能。
属人化しやすいプロンプトを標準化し、現場間の転用を容易にします。
仕組みの肝:マルチLLMとRAG、そして適材適所
推奨モデル選択で「最適」を自動化
『ELYZA Works』は背後で複数のLLMを使い分け、タスクごとに最適なモデルを自動選択する方針が報じられています。
CNET Japanは以下のように伝えています。
ELYZA WorksはOpenAI、Anthropic、Googleなど複数のLLMを裏側で使い分ける「推奨モデル」機能を備える。
出典: CNET Japan
さらにRAGにより、社内規程や顧客資料、ナレッジベースを精度よく参照できます。
抽出・前処理・索引化をAIがガイドし、「社内の最新情報をどう活かすか」に集中できます。
フォーム×RAG×推奨モデルで、実務タスクを地に足のついたやり方で自動化できるのが強みです。
チームで使えるという設計思想
権限・共有・モニタリングでガバナンスを担保
現場主導でも、組織のルールから逸脱しないための権限管理と利用監査が重要です。
『ELYZA Works』は、チーム単位の共有とロール別のアクセス制御、利用状況の可視化を備えます。
マイナビニュースは次のように言及しています。
大企業や行政、大手金融機関での利用にも耐えうるセキュリティ機能を備える。
出典: マイナビニュース
これにより、小さく作って、広く展開するアジャイルな内製が現実的になります。
全社横断のベストプラクティスも蓄積され、再利用が加速します。
提供形態・価格の目安とKDDI連携
サンプルアプリ同梱でスピード導入
報道各社によれば、月額980円からのプランが案内されています(詳細は今後の更新をご確認ください)。
参考: CNET Japan
またKDDIと連携した「ELYZA Works with KDDI」では、KDDI社内で先行開発された約100種類のサンプルAIアプリがセット提供されます。
成功事例の雛形をそのまま自社流に適用できるのが導入初期の壁を下げます。
専門的なプロンプトスキルやUI設計の知見が不要で、AIアプリを自動生成できるELYZAのサービスに、KDDIのサンプルAIアプリをセットで提供。
出典: KDDI 法人トピックス
他ツールとの違い:非エンジニア中心の設計
ローコード志向との差分
ローコード系のAIアプリ作成ツールと比べたとき、『ELYZA Works』は非エンジニアの現場ユーザーに主眼を置いた体験設計が特徴です。
CNET JapanはDifyとの比較に触れ、狙いの違いを伝えています。
Difyが最も近いが、あれはエンジニア向けツール。ELYZA Worksは非エンジニアが触れるツールとして設計した。
出典: CNET Japan
結果として、現場がつくり、組織で使うワークフローが磨かれているのが強みです。
形式知化が進み、スケールしやすい運用に寄与します。
社内ユースケースの発火点
まず効く領域から広げる
RAGとフォーム型UIの相性が良い領域から始めると投資対効果が明確です。
次のようなアプリは1〜2時間で原型まで辿り着けます。
- 契約審査支援:条項要約、差分検出、レッドライン案の生成
- 営業提案作成:過去提案の要点抽出、顧客要件への当て込み、提案骨子の生成
- コールセンター支援:ナレッジRAG、回答案の提示、NG表現の検出
- 規程・社内ルールQ&A:最新ドキュメント参照の自動応答
- 監査・点検レポート:入力フォームから一貫したレポート体裁を自動生成
共通するのは、「社内知」×「出力の型」が明確なこと。
この条件に合うテーマから着手すると、成功体験が連続します。
導入のコツと落とし穴
運用で磨く、データで強くする
短期で成果を出すには次の打ち手が有効です。
- ゴール先行の設計:最終出力のサンプルを先に作り、そこから逆算してフォームと評価基準を決める
- 評価データの継続更新:毎週の学習会で失敗例を収集し、テストに反映。改善のPDCAを定例化
- RAGの衛生管理:最新版の識別、アクセス権の整備、PII/機密のマスキング運用を徹底
- 権限と監査の明確化:作成者・承認者・利用者の区分を定義し、公開前レビューを組み込む
逆に、「なんでも生成AIで」は危険です。
形式が曖昧、根拠が問われる、数値根拠が外部依存するタスクは吟味が必要。
人の検証を前提にした責任設計を崩さないことが信頼構築の近道です。
まとめ:現場発で、再現可能な成果を増やす
小さく作り、早く回し、広く展開する
『ELYZA Works』は、現場の「やりたい」を再現性のある業務アプリに変換し、チームで共有・改善するための器です。
RAG対応・権限管理・推奨モデルといった実務必須の機能を押さえ、内製のハードルを下げます。
まずは成果が測りやすい1テーマで最小アプリを作り、週次で改善。
成功の型ができたら、隣のチームへと横展開しましょう。
現場主体の内製は、もう実験段階を超えています。
参考リンク:
公式ランディングページ/
PR TIMES/
ASCII STARTUP/
CNET Japan/
マイナビニュース/
KDDI 法人トピックス
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