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Blackbaud、非営利・社会貢献セクター向けAIエージェントを発表—AI Coalitionを立ち上げ

目次

現場が動くAI:非営利の「次の一手」

寄付者対応や助成金、会計処理は、丁寧さとスピードの両立が難しい領域です。
一方で、AIは高度になり、ドメイン特化の自動化が現実解になってきました。

Blackbaudがbbcon 2025で発表したのは、非営利・社会貢献セクターに合わせて作られたエージェント型AI。
寄付、会計、資金調達、CSRまでつなぎ、日々の業務を「賢く前に進める」設計です。

70以上の業界特化AI機能が統合され、実務のボトルネックに直接手を入れる構成。
今回は発表の要点と、導入の勘所をまとめていきます。

発表の全体像:70+の機能とエコシステムの強化

「知的行動の時代」へ

Blackbaudは、既存のシステム・オブ・レコードにAIを深く埋め込み、意思決定から実行までを一気通貫で支援する方針を示しました。
寄付者ポートフォリオの優先度付け、請求書データの抽出、支払い起票の下準備など、これまで人手で積み上げてきた手順を、AIが安全に肩代わりします。

なかでも目玉は、非営利実務に最適化された70以上の組み込みAI機能と、エージェント群Agents for Goodの正式ローンチ。
発表は複数の一次情報で確認できます。

「Blackbaudは、ポートフォリオ全体にわたり70+の業界特化AI機能を展開し、責任あるAI活用を広げるためAI Coalition for Social Impactを主導する」

PR Newswire: 発表リリース

さらに、無償のプラットフォーム非依存AI認定プログラムの提供もアナウンス。
現場スキルとガバナンスを同時に底上げする布陣です。

Agents for Goodとは:AIが「バーチャル同僚」になる

最初のエージェント「Development Agent」

Agents for Goodは、実務を自律的に回すAIエージェントのスイートです。
先陣を切るDevelopment Agentは、寄付者発掘からステュワードシップ、フォローアップ案内文の下書きまでを連結します。

「最初のエージェントはDevelopment Agent。寄付者の特定と関係醸成を自律的に進め、従来は手が回らなかった層まで丁寧にアプローチできる」

Blackbaud ニュースルーム

この「AIが動く同僚」という発想は、単なる支援機能を超えています。
AIが先に下ごしらえを済ませ、担当者は判断と関係構築に集中する。
人の時間を、最も価値の高い活動へと戻す設計です。

実務をどう変えるか:寄付、会計、CSRのワークフロー改善

具体機能のハイライト

  • Chat for Blackbaud AI:会話型アシスタント。要約、起案、次アクションの提案を高速化
  • Prospect Insights Pro:予測モデリングで見込み寄付者セグメントを最適化
  • Document Intelligence:請求書の画像/PDFからデータ抽出→APドラフト作成まで自動化
  • Expedited Giving:寄付金の分配スピードを最大95%高速化(発表資料)

財務、資金調達、企業の社会貢献を横断することで、部門間の分断も緩和できます。
AIは年間300億件規模の予測を生み出す基盤の上で動き、洞察から実行までを一連で支えます。

「Blackbaudのプラットフォームは年間30 billion predictionsを生成し、マーケットプレイス連携は前年比22%増」

StockTitan: 発表概要まとめ

現場目線で見ると、「入力と転記の山」が減り、「対話と関係構築」に使える時間が増える。
これが最も大きなインパクトです。

使い方ガイド:小さく始め、成果を見える化

現場導入のステップ

  • 優先業務を限定:寄付者フォローか、請求書処理か。まず1~2領域に絞る
  • データ整備:名寄せ、重複排除、必須フィールドの定義を早めに固める
  • パイロット設計:対象チーム、KPI(例:フォロー率、リードタイム、誤入力率)を明確に
  • 人とAIの役割分担:AIの下書き→人の最終判断というガードレールを設定
  • ダッシュボード:成果の可視化と、フィードバックループを作る

おすすめは、Development Agent+Chatの組み合わせで寄付者対応を短期改善し、次にDocument Intelligenceで会計の省力化を重ねる流れ。
初期の成功体験を作り、社内合意を強化してから適用範囲を広げましょう。

AI Coalitionと無償AI認定:エコシステムの設計図

責任あるAIを全体最適で

Blackbaudは、非営利領域でのAI活用を加速するため、AI Coalition for Social Impactを立ち上げました。
創設メンバーにはAnthropicDatabricksOneTrustなどが名を連ね、技術・データ・コンプライアンスの三位一体での推進を狙います。

「BlackbaudはAI Coalition for Social Impactを発足し、プラットフォーム非依存の無償AI認定コースを提供」

StockTitan: 追加詳細

人材育成とガバナンスは、現場導入の最大の成否要因。
無償認定を軸に、全社のスキル底上げと責任あるAI運用を同時に進められるのは、導入コストとリスクの両面でメリットがあります。

データとガバナンス:安全性を実装する

実務で押さえるべきポイント

  • 最小権限と監査:役割ベース権限、操作ログ、モデル出力の保存
  • PII/寄付者データの扱い:マスキング、保持期間、第三者提供の管理
  • プロンプト管理:定型の指示テンプレート化と品質ガイドライン
  • ヒューマン・イン・ザ・ループ:重要通知・金額・敬称などは必ず人が確認
  • バイアス監視:セグメンテーションや優先度付けの公平性チェック

Blackbaudの機能群は、こうしたガードレールを前提に現場へ下ろす設計が意識されています。
「AIに任せる範囲」と「人が責任を持つ範囲」を明文化し、教育と運用で徹底しましょう。

今、動く理由:競争優位と資金循環の高速化

小さな時間短縮が大きな寄付につながる

寄付分配のリードタイム短縮は、年末繁忙期や緊急支援でこそ真価を発揮します。
Expedited Givingのような機能で最大95%の高速化が見込めるなら、現金の立ち上がりが早まり、インパクトは雪だるま式に拡大します。

同時に、寄付者ごとの「次の最良アクション」をAIが示すことで、離脱を防ぎ、LTVを底上げ。
競争環境が厳しくなる中、「人が向き合う時間」をひねり出す取り組みは、最も確実な差別化になります。

詳細は一次情報もあわせて確認を。
Blackbaud ニュース
PR Newswire
NonProfit PRO

まとめ:人の役割を取り戻すためのAI

Blackbaudの新発表は、AIを「記録の道具」から「行動の相棒」へ押し上げました。
70を超える特化機能、エージェントによる自律実行、そしてガバナンスを含むエコシステム。

寄付、会計、資金調達の現場にある細かな摩擦を、ひとつずつ減らしていく。
その結果として、人は関係づくりと物語づくりに集中できる。

まずは小さく試し、成果を見える化し、守りと攻めの両輪でスケールさせる。
AIは、現場の丁寧さを削るのではなく、丁寧さに時間を取り戻すために使いましょう。

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