会議は“メモしない”時代へ
オンラインでも対面でも、議事録を書くためにキーボードを叩く光景が減りつつあります。
Microsoft 365 Copilot や Zoom AI Companion は、発言内容をリアルタイムで文字起こしし、決定事項とタスクだけを抽出してくれます。
2025年春のアップデートでは、手元のデバイスで録音せずともクラウド側で音声を分離し、話者ごとの発言を自動タグ付けする機能が追加されました。
その結果、「書き起こし+整理」にかかっていた約40分が、平均7分で完了したという社内検証も報告されています。
ハイブリッド会議が常態化した今、“メモを取らない” こと自体が生産性を象徴するキーワードになりつつあります。
主要アシスタントサービス早見表
どのツールを選ぶかは、使うアプリと社内ポリシーで決まります。
以下は2025年6月時点の代表例です。
- Copilot for Microsoft 365:Word / Excel / PowerPoint / Planner / Loop にネイティブ統合
- Gemini for Google Workspace:Gmail / Docs / Sheets / Meet / Drive で利用。Duet AIから名称変更
- Notion AI:ナレッジベースとAIを一体化。RAG構成が標準搭載
- Slack AI:スレッド要約・検索強化、Enterprise Key Management に準拠
- OfficeBot:PDF・pptx・図面も含む社内ファイルをRAGで対話
価格は各社とも従量課金ではなく月額固定+利用制限解除型が主流になりました。
Copilotで変わる資料作り
PowerPointにCopilotが載って1年以上が経ち、利用シナリオは「下書き生成」から“リテラシー補完”へ進化しました。
2025年3月のバージョンでは、Plannerの日程やLoopのタスクを読み取り、進捗レポート スライドを自動生成できます。
- Excelの粗い数字 → Copilotがチャート選定とカラー統一まで実施
- Chatログ → 決定したKPIだけ抽出し要約
- Speaker notes → 発表者の口癖を学習しスクリプトを個人最適化
成果物の体裁が揃うことで、レビュー回数が平均1.7回減少したというデータも公開されています。日経 xTECH
Gemini for Workspaceが秘書になる
Googleは2024年末にDuet AIをGemini 2.0として全面改訂しました。
特筆すべきは「コンテキストサイズ10Mトークン」。
大量メールをまとめて貼り付けても、Geminiは
“最も緊急度が高い依頼は3件。うち2件は既に類似回答済みです”
のように優先度と既読度を提示します。
さらに、カレンダーの空き時間と移動時間を見て最適なアポ候補を自動返信する Smart RSVP も追加。
メール、予定調整、ドキュメントの下書き――秘書的タスクがクリック数ゼロで回り始めています。
安全に社内データを扱うRAG活用
生成AI導入で最も議論されるのが機密保持。
2025年現在、企業は RAG(Retrieval-Augmented Generation) を前提に設計する流れが定着しました。
実装のポイントは3つ。
- Embeddingを日本語に最適化したモデル(例えばOpenAI text-embedding-4-jp)を使う
- Azure Key VaultやAWS KMSで暗号化キーを管理
- 検索ログと回答ログを完全分離し、監査証跡を自動付与
こうした構成を採った OfficeBot は、法務部門でも利用が進み、平均検索時間を70%短縮しています。
導入時に押さえたいガバナンス
ツール選定より重要なのは運用ポリシーです。
- プロンプトポリシー:個人名・顧客名を含めない。機密はID指定で参照
- ロールベース制御:RAGの場合、部署ごとに閲覧権限を自動フィルタ
- 学習除外:外部APIの場合 “data
delete” エンドポイントで即時削除をテスト
これらを明文化し、オンボーディング時にチェックリスト化すると“野良AI利用”を抑制できます。
未来予測と今すぐ始める一歩
生成AIアシスタントは、2025年末までに自然言語×業務アプリ=デフォルトUIになると見られています。
SlackやTeamsではテキスト入力より先に「/ask AI」が提案される未来です。
今からできることはシンプルです。
- 無料トライアルで自部署の課題を1つだけ解決してみる
- 効果が数値で見えた瞬間に、PoCから本番へ移行
- 小さく始め、大きく展開――このリズムを保つ
“メモを取らない会議”を体験したとき、あなたの働き方は確実にアップデートされます。
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